【共通テスト対策】フクフクちゃんの現代社会・倫理・政治・経済

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【今日の時事問題】ルソーの声を聴け

ルソーに寄り添ってみたい気持ちになった。

ルソーの「間接民主主義」批判のことは知っていることと思う。

 

社会契約論/ジュネーヴ草稿より

「主権は譲渡されえない。同じ理由から、主権は代表されえない。主権は本質的に一般意志のうちにあり、そして意志というものは代表されるものではない。一般意志は一般意志であるか、一般意志ではないかのどちらかで、その中間というものはないのである。だから人民の代議士は人民の代表ではないし、人民の代表になることはできない。代議士は人民の代理人にすぎないのである。代議士が最終的な決定を下すことはできないのだ。人民がみずから出席して承認していない法律は、すべて無効であり、それはそもそも法律ではないのである。イギリスの人民はみずからを自由だと考えているが、それは大きな思い違いである。自由なのは、議会の議員を選挙するあいだだけであり、議員の選挙が終われば人民はもはや奴隷であり、無にひとしいものになる」

Jean‐Jacques Rousseau (原著) 中山 元  (翻訳)

社会契約論/ジュネーヴ草稿 (光文社古典新訳文庫、2008年)  第191項

 

ルソーについて

ルソーについては他の部分の原典を用いた問題も想定されるので、受験生はよくよく理解しておこう。

 

簡単なフローチャートをつくってみた。


ルソーは「私有財産」に不平等の起源をみる。

この点、「財産権の不可侵」を説くロックとは一線を画す。


「ある土地に囲いをして『これはおれのものだ』と宣言することを思いつき、それをそのまま信ずるほどおめでたい人々を見つけた最初のものが、政治社会〔国家〕の真の創立者であった」(『人間不平等起源論』)

 

※「自然へ帰れ」という言葉はルソーが直接述べた言葉ではないが、ルソーの思想を端的に表したもの。

 

社会契約の本質

「この社会契約のあらゆる条項は、・・・ただ一つの条項に帰結する。すなわち、各構成員は、自己をそのあらゆる権利とともに共同体全体に譲り渡すということである。・・・各人はすべての人に自己を譲り渡すから、特定の誰にも自己を譲り渡さないことになる。」(『社会契約論』)

 

ルソーはある意味ではホッブズと同様に権利を「全面譲渡」しているように思える。

 

しかし、ホッブズが統治者に譲渡すべきと考えたのに対して、

ルソーは「共同体」への譲渡。

 

となると、「全員が譲渡すれば、全員が全員の主権者になる」という論法によって、むしろ譲渡による「主権」の再獲得という転換を図っているのではないか。

 

他の箇所では以下のようにも述べている。

人間は社会契約によって、自然的自由と無制限の権利を失い、社会的自由と所有権を得る。そして、社会的自由は一般意思の制限を受ける。

 

→「自然的自由」を失って、「社会的自由」(市民的自由)を獲得するという論理も展開している。

 

ルソーの言う「一般意思(意志)」とは

全体意思と一般意思

ルソーは「一般意思」を「特殊意志」と「全体意志」というものと対比して説明する。「特殊意志」は「利己的な意志」で、「全体意志」はその総和とされる。

 

全体意思

たとえば、「税金を払いたくない」という個々人の思いによって、多くの人が望む方向で「税金は廃止しよう」といった結論が出たとしたら、それが「全体意志」である。

 

一般意思

これに対してルソーが考える「一般意思」は、「公共の利益」を目指し、全人民が納得できる意思のことである。

たとえば、「所得の格差を解消するために累進課税制度」を導入しようとか、「全員が負担する消費税も併用しよう」といった「合意」である。

 

ルソーは、このような「一般意思」を形成するためには、直接民主制が不可欠であると考えた。そしてみんなで話し合って合意した法に従うことは、決して自由の侵害ではない、と考えた。むしろ逆に、一般意思に服従することによってのみ自由を確保することができると。

 

私たち日本社会に、このルソーの風を吹かせたい。