【知っ得】経済分野の計算問題 ①信用創造
【前提知識】信用創造の意義と仕組み
信用創造の意義
信用創造とは、銀行間での預金貸出操作を通じて、当初の何倍もの「預金通貨」を創造することをいう。
※現金通貨ではないことにも注意
例えば、A銀行に預金が100万円あるとする。
A銀行は、このうち9割の90万円をB銀行に貸し付ける。
そして、B銀行は1割のこして81万円をC銀行に貸し付ける。
A銀行に100万預金
→A銀行:10万残してB銀行に 90万貸す (190万)
→B銀行: 9万残してC銀行に 81万貸す (271万)
→繰り返す・・・
手元に1割残して貸し付けることを繰り返していくと・・・
理論上900万円まで信用創造される。
準備預金制度
なぜ預金の一部を残すのか。
→ 「預金準備率」として「日銀」に当座預金として預けるため
金融機関が、預金のうち一定の金額を日本銀行に預け入れることをいう。
日本銀行が詳しい解説をしているので参考のこと。
信用創造と預金準備率
従って、信用創造は預金準備率の大きさによって変わってくる。
預金準備率が低ければ低いほど、貸し付けることのできる金額が増えるため、信用創造額は増える。
預金準備率は金融機関の種類や預金金額等によって異なり、2%~0.05%
しかし、1991年(平成3年)10月を最後に預金準備率は変更されていない。
ということは、預金準備制度そのものはあるが、預金準備率「操作」自体は行われていないということになる。
信用創造額の計算式
信用創造額 = (最初の預金額÷預金準備率)- 最初の預金額
【具体例】最初の預金額を100万、預金準備率を10%とすると
信用創造額 = (100÷0.1) ー 100
= 900
※なぜ 100を引くのか?
信用「創造」は、新たに創造された額だから。最初の預金額は控除する。
【練習問題】信用創造の計算
【問題】
(1)A銀行が、5000万円の預金を受け入れた。これを支払準備率を10パーセントとして企業に貸し出す。さらにこの資金は、取引を経た後、銀行Bに預金される。銀行の支払準備率をすべて10パーセントで一定とすると、この過程が次々と繰り返された場合、信用創造で作り出された銀行全体の貸出金の増加額として正しいものを、下の①~④のうちから一つ選べ。
① 2億5000万円
② 3億5000万円
③ 4億5000万円
④ 5億5000万円
(2)ところが、支払準備率が10%から変更されて5%となったとしよう。
信用創造で作り出された銀行全体の貸出金は増加するか?減少するか?
【解説】
①公式に当てはめると・・・
信用創造額 = (5000÷0.1) ー 5000
= 45000
したがって、答えは④。
②計算しなくても、預ける額が減り、自由に貸付できるお金が増えるわけだから「増加する」。
一応計算しておくと、
信用創造額 = (5000÷0.05) ー 5000
= 245000