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【今日の時事問題】もうひとつの危機:食糧危機について

食糧危機のおそれが出てきた

前回、エネルギー危機のことに触れたが、EUがロシアへの追加制裁として、ロシアからの原油禁輸に踏み込むことになったようだ。猶予期間をおき6ヶ月以内に禁輸という方針とのこと。一部反対の国もあり、合意を取り付けることができるかどうか不透明なところはあるようだが、EU域内の原油輸入量の25%はロシアから、それを断ち切ることは、相当困難を伴うはず。EU域内ではインフレも相当進んでいて、経済が冷え込む恐れもある中での決断となりそうだ。

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で、今回さらに触れておきたいのが、もうひとつの危機。食糧危機のこと。ロシアとウクライナが穀倉地帯であることは承知の通りかと思う。小麦の輸出量では、ロシアが世界1位、ウクライナが5位で、両国で世界の輸出量のおよそ30%を占めるとのこと。また、とうもろこしもウクライナが4位で、両国合わせておよそ20%、そばもロシアが1位、ウクライナが3位で、両国合わせておよそ50%。ウクライナは収穫ができない状況、ロシアに対しては経済制裁による規制もあり、世界的な穀物価格の高騰で、日本でも、小麦、とうもろこし、そばなどが値上がってきているようだ

 

ただ、日本の場合、小麦はアメリカ・カナダ・オーストラリアから、とうもろこしはほぼアメリカから、そばは中国・アメリカから・・・ということで輸入量自体に大きな影響はなさそうだが(ただしそばの3位はロシアで、そばは影響が大きいが)、世界的な価格の高騰自体の影響は避けられず、これに円安による輸入価格高騰も加わって、製麺・製パン業界、飼料穀物を必要とする畜産業界などで悲鳴があがっているという。

 

一方、直接的な影響を被ることになるのが、ロシアとウクライナからの輸入に頼ってきた国である。その多くは、中東やアフリカの国々のようだ。なかでも、国内で紛争が起きている国などの食糧難は最も深刻な状況で、WFP(国連世界食糧計画)によると、アラビア半島のイエメンでは、今年の後半には、人口のおよそ3分の2にあたる1900万人が十分な食糧が得られず支援を必要とすることに、うち16万人が命を失うおそれがあると予測し、小麦の新たな調達先を探しているとのこと。各国どうしで食糧備蓄を融通しあうことや、国際社会全体で人道支援を急ぐ必要が叫ばれている。

 

他方で、日本については、ウクライナ戦争による直接的な食糧難というものはないものの、承知のように、エネルギーだけでなく、食糧の自給率も低い。以下は、農林水産省のHPに掲載されている、自給率の国際比較である。

出典:農林水産省 世界の食料自給率 諸外国・地域の食料自給率等

 

日本の場合、通常「カロリー・ベース」を指標とし、自給率は4割を切っている。6割は輸入に頼っているということで、今後、世界的な食糧危機と円安が続くようだと、家計にも深刻な影響が出てくるのは不可避か。

 

ちなみに、もう一つの指標は「生産額・ベース」だが、グラフをみると奇妙な現象に出くわす。他の国はほとんどが「「カロリー・ベース」」の方が高いのに、日本については逆。「生産額ベース」だと、ドイツやイギリスより高い数値なのだ。これはどういうことか? 「カロリー・ベース」や「生産額・ベース」ってどういう指標なのか?・・・ということで、今回はこれ以上深入りしないが、実は、そんなところこそが共通テストで狙われそうな予感がする。近日中に、「深める」コーナーを設置し、解説を加えるので乞うご期待。

 

ということで、最後は、やや横道に逸れた感があるが、現在、ウクライナ戦争の余波で食糧難にあえぐ国が出ていること、その影響を最も受けやすいのが子どもたちであることを考えれば、緊急支援の実施とともに、食糧備蓄等も含めた国際的な食の安全保障や、食品ロスをどう減らすか等、今一度真剣に検討する必要がある。そんなことを思うと、世界は、様々な人々の協働でかろうじて保たれている、しかしその協働こそが命綱なんだということを改めて感じる。受験生諸君も、いつの日にか、その協働の環に何らかの形で加わってほしい・・・そんなことを思った子どもの日であった。