【速修】②世界の政治体制(2)英・仏・独・露
24 イギリスの上院は選挙で選ばれない。
- 〇 閣僚経験者など一代貴族が主で終身議員。聖職者や世襲貴族の議員もいる。
25 イギリスでは下院が優先する。
- 〇 1911年の議会法によって民選の下院の優越が決まる この結果、イギリスは二院制であるが、「ねじれ国会」はないことになる。日本はねじれ国会があり得る。そのため、政治が停滞することもあるが、一方で、ねじれこそ、単純な多数決による採決ではなく、議論をより深めることができる可能性をもち、民主主義の観点からするとより健全ではないかという見解もある。★2021政経第1日程で「イギリスでは、上院は非公選の貴族を中心に組織されるのに対し、下院は国民の直接選挙によって選出される議員によって組織される。下院優越の原則が確立しており、下院が国政の中心に位置している。下院には解散もあるが、解散できる条件は限られている。」という長文が正誤判断として問われた。〇だが、最後の一文あたりは聞いたことがないかも。イギリスでは2010年議会固定法という法律が成立、総選挙の期日を原則5年ごとに固定し、その期間中に解散するには下院の3分の2以上の賛成が必要になった。首相の下院解散権を制限するもので、保守党の都合で恣意的に解散されるのを防ぎたい自民党の要請で制定したものだが、これが「解散できる条件は限られている」という意味。ところが、首相の解散権を縛りすぎると政府と議会の権力バランスが崩れるとし、2020年、ジョンソン首相がこれを廃止する案を出していたらしい・・・それでの出題とみた。何とも時事的で「そこまで聞いて委員会」問題だが、受験生にその知識を求めているとは思えないので、できるだけ深く勉強した上で、「自分の知らないことは括弧に入れて判断しない」という姿勢が賢明。「下院には解散もあるが、解散できる条件は限られている。」後段は、「まぁそうだろうね。簡単に解散はありえないし・・・」程度の判断でよし。こだわらないことも大切。
26 イギリスの下院は大選挙区制が採用されているため二大政党が対抗しやすい。
27 イギリスの首相は議会から選出され内閣を組織するため、議会から内閣不信任を決議されることはない。
- ✕ 日本と同様あり得る 下院のみの権限
28 イギリスの内閣では、国務大臣はすべて議会の議員でなければならない。
- 〇 すべてという強調構文ではあるが正しい 日本は過半数でよい
29 イギリスでは、与党は影の内閣を組織して、それぞれの政策を担当する議員が与党の大臣と政策論争を行う。
- ✕ 与党ではなく野党
30 イギリスには最高裁判所はない。
- ✕ 2009年に上院から切り離されて新設。ただし、違憲立法審査権はない。
31 フランスやドイツ、ロシアにはいずれも大統領と首相がいる。
- 〇 フランスとロシアは大統領が実権を握る。ドイツは儀礼的存在。
32 フランスでは首相が大統領を任命する。
- ✕ 逆。大統領が首相を任命する。ただし議会の多数党から選ばなければならない。そのため、自分の所属政党ではない政党から首相を任命するケースもある。なお、大統領の任期が7年から5年に変更となった。今年が選挙の年。議会についてひとつだけ補足しておくと、議席は扇形に配置されているが、これは、人は自由で平等なものとして出生するという考え方を含む宣言が議会で採択された頃、議長席からみて左側にこうした考え方をさらに推し進めようとする者たちが座り、右側に旧体制の維持を望む者たちが座った。これが慣例となり、左翼、右翼という言葉の語源となった。この程度のエピソードは知っておきたい。
33 フランスの大統領は直接選挙で選ばれる。
34 ドイツでは首相の権限が強く、大統領は儀礼的存在である。故に、ドイツは議院内閣制と言える。
35 議院内閣制を採るドイツでは、上院は各州政府によって任命されため選挙はなく、国民による選挙は下院だけである。
- 〇 下院選挙は4年に1回で、そのためドイツでは長期政権もあり得る。首相の再任禁止規定はなく、メルケル首相は16年という長期に渡って首相を務めた。
36 ロシアの大統領は任期2期とされているが、プーチン大統領はこれまでの任期をリセットし、改めて大統領に立候補できる改憲案を提出し、認められた。
37 ロシアは複数政党制が導入されたが、共産党の一党優位体制は変わっていない。