【共通テスト対策】フクフクちゃんの現代社会・倫理・政治・経済

共通テスト 現代社会 政治経済 倫理 倫政 時事問題 試験対策

【速修】①政治と法・人権保障と法の支配(2)法・社会契約説・三権分立

21 自然法は実定法の一種である。
  • ✕ 法はまず、「自然法」と「実定法」に大きく分けることができる。自然法は生まれながらの普遍的な法、実定法は人が作った法で、特定の社会で効力をもつもの

 

22 慣習法は不文法の一種である。
  • 〇 実定法は、「不文法」と「成文法」に大きく分けることができる。慣習法(customary law)とは、社会の成員の間に存在する一定の慣行のうち、その慣行が成員によって法的拘束力があるものと意識されているもので、判例とともに「不文法」の一種である。国際慣習法には、「拷問等禁止」規範等があるが、「公海の自由」は国連海洋法条約に明記されているので不文法ではないものの、本来的には慣習法である。なお、「不文法」「成文法」(制定法)ともに効力を有する法規範であることは言うまでもない。ちなみに、現在、ロシアの暴挙に対して、「国際人道法」違反であるということがよく言われる。「国際人道法」は、そう呼ばれる特定の条約がある訳ではなく、1971年に国際赤十字委員会が初めて公式に提唱した国際法の分野名だそうだ。1949年のジュネーブ条約や、これまで国際社会で受け入れられてきた国際慣習法などを含んだ人道ルールだが、具体的にどのような条約や慣習法が国際人道法に含まれるのか、はっきりした合意がある訳ではないとのこと。しかしいずれにせよ、プーチンの戦争は明らかに国際人道法にも反する暴挙だ。後に、国際刑事裁判所の現在の動きについても触れているので、政治編の終盤「国際政治」まで一気に勉強することを勧める。

 

23 婚姻の条件について定めた法律は社会法である。
  • ✕ 「私法」である。民法なら「私法」とすぐに答えられるであろうが、「婚姻の条件について定めた法」といった具体例を出されるとちょっと考え込んでしまうかも。具体例→抽象化という作業を求めているということだ。なお、「最低賃金法などを定めた法律」となると何か?そう労働法だから「社会法」ということになる。

 

24 社会契約説とは、国家は人民相互の合意による契約で設立したと考える説である。
  • 〇 一般論しては正しい social contract theory                                 contract conは「一緒に」、 tractは「引っ張る」  「引き寄せ合って合意する」 attract  at(〜の方へ)+tract(引っ張る)⇒引きつける                                   subtract  sub(下に)+tract(引っ張る)⇒引き下げる

 

25 社会契約説は、王権神授説に対抗するために発達してきた政治学説である。
  • 〇 一般論しては正しい

 

26 社会契約説で言う自然状態とは、人間はなぜ社会を形成するのかの問いに答えるため、社会が構成される以前の人間たちがどのような状態にあるのかを仮説的に表現したものである。
  • 〇 一般論しては正しい。現代政治学ロールズの「無知のヴェール」も原初形態に関する仮説的な思考である。倫政組はロールズやセンについては早めに学習しておきたい。

 

27 ホッブズは自然状態では万人の万人に対する闘争であるため、自然権の一部を統治者に譲渡すべきであるとした。
  • ✕ 一部ではなく「全面」譲渡 結果的に王政復古を擁護した形となった。

 

28 ロックは、人身の安全を確保するために、自然権の一部については国家に信託したとし、国家は信託された権利を侵害してはならないとした。
  • ✕ ロックは「所有権」を重視し、「所有権を守るために」国家に一部自然権を信託(trust)したと考えた。ロックの言う「所有権」には、財産だけでなく生命の保持も含まれているが、「安全の確保」となるとロック的ではない。「安全」というのは、自然状態を万人の万人に対する闘争と捉えたホッブズ自然権を全面譲渡した結果得られるものとして考えたもの。とすると、やはり違和感を感じて✕と判断してほしいところ。 なお、所有権に関しては、ルソーは「私的財産制」が不平等をもたらしたとし、所有権については絶対視していない。これもロックとは捉え方が違う点。ホッブズ、ロック、ルソーについては、図表で整理したものがあるので参考にするとよい。

 

29 ルソーは、君主権に結び付けられることの多かった主権を人民主権に組み替え、為政者は主権者である人民の意志に従うべきことを説いた。
  • 〇 センター問題は、教科書的記述とはニュアンスをやや変えた文章に組み替えて判断させることが多かった。これもその一つだが、正しいとするしかなかろう。4択での斟酌だが、「為政者」あたりにこだわってはならない、主旨は間違いはない。なお、ルソーの場合、「人民」という邦訳を使うが、ここでは、国民と人民の違いについては、次のように捉えておけばよいかと思う。国籍と無関係な概念が「人民」Peuple、国民国家の観点から捉えるのが「国民」Nationで、その国の国籍をもつ人々ということ。コスモポリタンであるルソーならではの言い回し。ちなみに、中国のような社会主義の文脈で言う「人民」は、とりあえず労働者といった意味合いで、ルソーの人民とは違いがある。

 

30 ルソーは、政府が人民の信託を裏切った場合、人民は革命権を行使できるとした。
  • ✕ 信託・革命権はロックの考え方 ロックの影響を受け革命権を明記したのがアメリカ独立宣言 イギリスからの独立を正当化

 

31 主権者である人民の「一般意思」を強調したルソーは、代表民主制を理想とした。
  • ✕ 「直接民主制」  現社ではこんな簡単な問題も出てくる。 なおルソーの「一般意思」については読解力を必要とするかたちの出題も予想されるので、ここで補足しておく。ルソーは「一般意思」を「特殊意志」と「全体意志」というものと対比して説明する。「特殊意志」は「利己的な意志」で、「全体意志」はその総和とされる。たとえば、「税金を払いたくない」という個々人の思いによって、多くの人が望む方向で「税金は廃止しよう」といった結論が出たとしたら、それが「全体意志」である。これに対してルソーが考える「一般意思」は、「公共の利益」を目指し、全人民が納得できる意思のことである。たとえば、「所得の格差を解消するために累進課税制度」を導入しようとか、「全員が負担する消費税も併用しよう」といった「合意」である。ルソーについては、さらに深く問われる可能性があるので、◎「フクフクちゃんの深める」でさらに勉強してほしい。

 

32 ルソーの思想にある直接民主制の主張は、人民が代表者を選出することを批判している。
  • 〇 これがセンター的な問題である。「間接民主制」を批判した、という言い回しでは簡単すぎる・・・ということで、「まどろっこしい言い回し」にして迷わせるのである。

 

33 「イギリス人が自由なのは議員を選挙する間だけだ」というルソーの言葉は、立憲民主主義への批判を込めたものであった。
  • ✕ 「間接民主制」を批判したもの。アメリカの一部で植民地時代から実施されてきたタウン・ミーティングは、直接民主制の一つの形態でもある。なおルソーはジュネーブ出身だが、ジュネーブを含むスイスでは、州によって違いがあるものの、イニシアティヴとレファレンダムを基盤とした直接民主制が取り入れられている。永世中立国で、EUにも属さず、国連も随分長い間加盟しなかった・・・まさにルソー的な、つかみどころのない、孤高の国である。

 

34 モンテスキューは、ロックの分立論になかった統治権を三権の一つとし、権力の抑制と均衡によって、国民の自由を保障することを主張した。
  • モンテスキュー裁判権(司法権)を三権の一つとして重視した三権分立(separation of powers)論を提示した。「司法」については「独立」が重要視されるが、逆に言うと、独立を侵される危険が高いということ。モンテスキューは、その「司法」を三権の一つとして日の当たるところに引き出した貢献者であるとも言える。なお、ロックは議会は立法権、国王が執行権(処罰を執行することも含む行政権)と同盟権をもつものと考える分立論を展開した上で、立法権を優越したものと考えていた。モンテスキューの場合、そこに優劣は持ち込まず、三権をそれぞれ異なる機関で運用させることの必要性を強調した。このロックとモンテスキューの違いに関する読解問題が●2021現代社会第1日程で出題されたが、差がついた問題であった。なお、「モンテスキューは、裁判所が違憲立法審査権をもつべきだと主張した。」は✕

 

35 モンテスキューが三権分立を主張したのに対して、ルソーは主権は譲り渡すことも、分割することもできないとし、権力分立を否定した。
  • 〇 ルソーにとって間接民主制=代議制は否定され、共同体の全員で議論する直接民主制が目指されるわけだから、そこには、譲渡とか信託ということはあり得ず、三権を分立させる意味もないということになる。

 

36 民主主義の本質を個人の権利を擁護することと考えると、国家権力の集中化と絶対化を防ごうとする三権分立制は、民主主義の理念と適合する。
  • 〇 正しい。逆に「民主主義の本質を国民代表たる議会が万能の権力をもつことと考えると、権力の抑制と均衡をねらう三権分立制は、民主主義の理念と適合しない。」も正しい。と言うことで、三権分立についても、見方によって評価が変わることになる。共通テストではこうしたところをついてくるぞ。ただ覚えるだけでなく、複眼的にものごとを考えるようにしていこう。そういう思考力が共通テストでも求めらている。

 

37 自然権を初めて明記したのは、17世紀イギリスで成立した権利の章典である。
  • ✕ 18世紀後半アメリカの「バージニア権利章典」で初めて明記。「すべての人は生来ひとしく自由かつ独立しており、一定の生来の権利を有するものである。」という文言。 

 

38 アメリカ独立宣言では、生命・自由・幸福追求は天賦の人権とされ、さらに抵抗権も明記された。
  • 〇 「natural human rights」 「われわれは、以下の事実を自明のことと信じる。すなわち、すべての人間は生まれながらにして平等で あり、その創造主によって、生命、自由、および幸福の追求を含む不可侵の権利を与えられているということを」 特に、「幸福追求」というキーワードは忘れないように  また抵抗権Right of Resistanceについては直接この言葉が示されている訳ではないが、幸福追求等の目的を毀損する場合は「新たな政府を組織する権利を有することを信ずる」と、その意味合いが示されている。

 

39 「権利の保障が確保されず、権力の分立が規定されないすべての社会は、憲法をもつものではない」と規定しているのはフランス人権宣言である。
  • 〇 端的に「法の支配はイギリス」、「天賦人権論はアメリカ」、「三権分立はフランス」と覚えておこう。なお、フランス人権宣言で「財産権の不可侵性」が初めて明記されたことも重要。「所有は、神聖かつ不可侵の権利であり、何人も、適法に確認された公の必要が明白にそれを要求する場合で、かつ、正当かつ事前の補償のもとでなければ、それを奪われない。」と規定。ルソーではなくロックによって重視された権利であるが、フランスの地で明文化された訳だ。

 

40 アメリカ合衆国憲法では連邦政府と州政府との権力分立の考え方が示されている。
  • 1787年フランス革命勃発前にアメリカは合衆国憲法を制定する。世界最初の共和政原理に基づいた制定された近代的憲法である。その三大原則が、人民主権三権分立と「連邦主義」である。州には大幅な自治を認めながら、強力な連邦政府を設置し、国防、外交を掌握することを認めた「連邦制」をとる。前段に着目すると、中央と地方がそれぞれの権限をもち分業する制度のことであり、左の文章は正文となる。アメリカは税金にしても州で独自であり、日本とは桁違いに地方に自治が認められている。

 

41 独立後のアメリカのデモクラシーの実態を見て分析したフランスの政治学者トクヴィルは、分権的な社会と地方自治を高く評価した。
  • トクヴィルについてはセンター試験倫理で出題された経緯がある。現社、政経の教科書には掲載されていないかも知れないが、知っておきたい人名である。

 

42 「人民の、人民による、人民のための政治」というリンカーンの言葉は、三権分立の必要性を言い表したものである。
  • ✕ このようなインチキ文章を見抜けないようでは困ったもんだ・・・ということになる。言うまでもなく「国民主権」を言い表した言葉だが、必要なのは、文章を何気なく読んで判断するのではなく、「疑ってかかること」と、「あれ、待てよ・・・これっておかしくない?という引っ掛かりを大切にすること。何気ないものほど引っかかりを感じないで、逆に罠に引っかかるので要注意。