【共通テスト対策】フクフクちゃんの現代社会・倫理・政治・経済

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【今日の時事問題】国際社会・戦争・国連・国際司法裁判所・国際刑事裁判所

■若者よ、世界や日本の動きについて関心をもち、自らの意見をもち、いつの日か自分のできる変革を実践しよう。

以下、「速修・過去問/創作問題」(正誤問題の一問一答・超解説カード)から、問題と解説を一部転載する。

ぜひ読んで、何か感じ取り、学びへの意欲を高めてほしい。

 

①国際政治・・・プーチンの戦争に関連して4題

「戦争の違法化を明記した国際法は存在しない。」○か

→ ✕

【解説】

「1928不戦条約、1945国際連合憲章が戦争の違法化を明記。

なお、不戦条約は、アメリカ、フランスを中心に結ばれ(それぞれの代表者の名前をとってケロッグ・ブリアン協定とも呼ばれる)、日本、ドイツ、ソ連も批准したが、「自衛のための戦争は可能である」という道を残してしまい、また「侵略」をどこが認定するのか規定がなく、「違反に対する制裁」についても触れられていなかったこのため理念的規範にすぎないと考えられ、結局、第二次世界大戦の勃発を防ぐことができなかった。

 

ただし、一方で、期限の定めがなく、今日でも効力を有しており、約60の国が当事国となっているとのこと。

しかし、これがどれだけ意味をもつかは疑問。国際連合憲章は、「他国への武力行使は原則禁止」とし、違反し侵略等の行為を行った場合は、「武力制裁」を行うことができると明記してあるが、安全保障理事会が決定した場合のみに法的拘束力をもつ。

そのためには後にも触れるが、米英仏ロ中の5カ国の大国一致が必要。

 

ところがロシアが拒否権を行使すれば国連としての制裁はできない。ということで、今回のロシアのウクライナ侵攻に対しては、国連としての武力制裁はできないというジレンマに陥ることになる。」

 

「総会が国際の平和と安全に関する問題を審議することができるのは、朝鮮戦争を契機に採択された「平和のための結集」の決議による。」○か

→ ○

【解説】

「平和のための結集」は、朝鮮戦争勃発後の1950年に国連総会で採択された決議。安全保障理事会が、常任理事国のいずれかの国が拒否権を発動して議決できず、安全保障の任務を果たせなくなった場合、「緊急特別総会」を開催して、安保理に代わって軍隊の使用を含む集団的措置を勧告することができる、とするもの。

 

総会が安保理に代わって安全保障に関する強制行動を決定することができるという画期的な採決であり、総会の権限を大きく強めるものであった。ただし、あくまで勧告であり、法的な拘束力はないが・・・

 

この背景には、朝鮮戦争が勃発したときはソ連が欠席中であったので、他の4国で国連軍派遣を決定することができたが、その不利を悟ったソ連が、8月には安保理に復帰し、その後は拒否権を行使するのではないか、とアメリカが警戒したことがあった。そこでアメリカは国連で多数派工作を行い、「平和のための結集」決議を成立させた。当時の国連(加盟60カ国)では社会主義陣営は圧倒的に少数(東欧6カ国のみ)であったので、拒否権を行使できない総会ではソ連の主張を通すことは不可能であったからであり、この決議はソ連の拒否権を無力化するのがねらいであった。この条項は、1956年のスエズ戦争(第2次中東戦争)ならびにハンガリー事件、1958年のレバノン紛争、1960年のコンゴ事件や、たびたびの中東問題、1980年のアフガニスタン、1981年のナミビア問題などに適用されてきた。今回のロシアのウクライナ侵攻に際して、今まさに、「緊急特別総会(会合)」の開催が求められたが、Emergency special sessions can be convened by a vote of nine members of the Security Council、 or a majority of United Nations Member States.前段の採決では常任理事国は拒否権を行使することができないので、開催の運びになり、2/3以上の賛成多数で「即時撤退決議」が採択された。ただし、北朝鮮とシリアは反対、中国やインドは棄権した。

 

なお、かつて1979年にソ連アフガニスタンに侵攻、新冷戦となったが、この時も緊急特別総会が開催されて、撤退決議が採択されている。ただ気になるのは、予想外に反対や棄権した国が多かったこと。これでは経済制裁が機能しないし、今後世界が「分断」してしまうのではないかという危惧を感じてしまった。」

国際司法裁判所の判決に従わないと、他国から政治的・道徳的な非難を受けるが、いかなる国家も判決に従う義務は課せられていない。」○か

→ ✕

【解説】

●2021現社第2日程の問題。前に出た勧告的意見が法的な拘束力がないということからミスリードされ、これも○と判断してしまった受験生もいるのでは。前段にもっともらしい文章をつけてミスリードを誘うような形式にもしてあるし。しかし、✕。でないと意味はないよね。

 

なお、次のような出題もある。「国際司法裁判所(ICJ)は、国際法にのっとって裁判し、判決を強制執行する。」どうだろうか?実は✕。

 

「判決は拘束力を有するが、強制執行はできない」とのこと。教科書では「強制力が弱いなどの問題点をもっている」としか書かれていないので、行間に「強制執行はできない」と書き込んでおくと良い。ちなみに、では、当事国がこれを履行しないときは、どうなるのか?と言うと、何と安全保障理事会が適当な措置をとることができるんだそうだ。ここでも安保理・・・。ところで、現在ウクライナ国際司法裁判所に提訴、ロシアに軍事作戦を中断することを命令する臨時的措置をとってほしいと求め、国際司法裁判所はこれに応じてロシアに軍事作戦の中断を求める判決を下したとのこと。

 

しかし、ロシアはそもそもICJには管轄権がないと主張しており、武力行使をやめる可能性は乏しいとのこと。既にみたように、国際司法裁判所の訴訟には当事国の同意が必要で、今回ロシアはその意思を示していないが、裁判所は「暫定的な命令」には、しかし「法的拘束力がある」としている。」

 ※頑張れ、国際司法裁判所とエールを送りたくなるよね。

 

アメリカ、ロシア、中国は国際刑事裁判所ICCの設立条約に加入していない。」○か

→ ○だが・・・

【解説】

しかし、一方で、条約に加入していない国の人物についても、規約の条件に合致し、その国の合意があれば訴えることができる。また、国際社会の平和と安全を脅かす状況である場合、安全保障理事会が、ICCの締約国でない国に関することも含め、事態をICCに付託することができるそうだ。

 

ところが、ロシアが安保理理事国なので、もしロシア大統領に対して訴追しようという動きが生じたとしても、安保理でロシアが拒否権を発動したら、訴追はできないということになる。ここでも安保理の影が・・・。

 

ところが、今回ロシアのウクライナ侵攻については、国際刑事裁判所の検察官が捜査を開始したそうだ。前例のない数のICC加盟国から要請があり、ウクライナICCの管轄権を受け入れているため、捜査が可能とのこと。また、ロシアはICC非加盟で管轄権を受け入れていないが、ICCは加害者の国籍にかかわらずウクライナ領で起きた戦争犯罪と人道に対する罪を捜査できるとのこと。

 

しかし、ICCは独自な警察機関を持たないので、容疑者の逮捕は各国に委ねられることになる。ロシアの政治状況が大転換しない限り、プーチン大統領を裁判にかけることは難しいと言われている。

 

※限界はあろうも・・・頑張れ、国際刑事裁判所と、これまたエールを送りたくなるよね。

 

②日本も大丈夫か・・・対岸の火事ではないかも知れない・・・1題

「国と国民の安全に関する情報の保護のために2013年に制定された特定秘密保護法は、報道のための取材行為を秘密保護規定の適用外としている。」○か

→ ✕

【解説】

現社の問題。適用外とは明示されていない。そのため報道の自由を侵害するものであると批判が強い。

★2021政経第2日程は、「特定秘密保護法は、行政機関による個人情報の適正な取扱いを通じた国民のプライバシーの保護を目的としている。」という、法と説明をずらす典型的な「主語かえ問題」を出している。後段は個人情報保護法のこと。「特定秘密保護法」については、そんな悪い冗談で済まされるような代物ではなく、「特定秘密」の対象になる情報は、「防衛」「外交」「特定有害活動の防止」「テロリズムの防止」に関する情報とされるが、行政機関の都合で「特定秘密」に指定されてしまえば、主権者である我々国民が知りたくても、隠されてしまうのではないかという、民主主義の根幹に関わる法律である。また、「特定秘密」を取得し漏えいする行為だけでなく、それを知ろうとする行為も、「特定秘密の取得行為」として、処罰の対象になるとのこと。出題されるかどうかは別にして、少し深く知っておきたいもののひとつである。」

  • ロシアの情報統制・・・日本だってあり得るということか